10数年前から小鳥を飼い続けている。歴代、ずっとマメルリハというインコの一種だ。
誰かに伝えるとき、いつも先に「インコの一種です」と言うことにしている。いきなりマメルリハといっても、ほとんどの人がわからないからだ。何故、マメルリハなのか。単純にマメルリハばかりを売っている小鳥屋にたまたま入ったからにすぎない。
図鑑やネットなどで調べると、マメルリハはインコのなかでも特に気が強い種類と書かれている場合が多い。確かにその通りで、時々、指先を強く噛まれる。餌をあげようと部屋に放鳥して、小皿の上に餌を入れているときに噛まれたりすると、ちょっと気持ちがなえる。血がでるほどではないが、かなり痛い。「なんで、噛むんだよ」と思わず言葉がでてしまうが、次の瞬間には私の肩に乗って、平然としているから、ついつい許してしまう。
2羽、飼っている。体重は20グラムほど。ときどき、調理用の計りに載せて体重を測る。それによって餌を多くしたり、少なくしたりする。
名前は空と天。オスとメスのつがいだ。飼い始めて4年近くがたつ。だから4歳くらいだ。小鳥屋で選ぶ際、羽の色と顔つきで選んだ。ただ2羽が必ずしも仲良くするかどうかはわからない。やはり気が強い種類のため、相性が悪いとかなり激しい喧嘩をすることがある。
さいわい、この二羽は本当に仲がいい。いつもくっついている。特に冬の寒い日などはずっとピッタリくっつぎすぎて、二羽で一羽にさえ映る。飼い始めるまで、鳥が仲良くすることなどまるで知らなかった。
その姿を見ていると、ちょっと古いけど20代の頃に読んだ、作家・武者小路実篤の本に書かれていた「仲良きことは美しき哉」という言葉が自然と浮かぶ。
身体全体は毛で覆われてふわふわだけど、足はかなり爬虫類っぽい。一説によると、鳥類は恐竜を祖先とした、その生き残りだという。私はそれを割と信じている。というか、そう考えると納得がいく。足は確かに恐竜を連想させるからだ。ときどき身体と足が別の生き物のように思える時がある。だからフォトジェニックだと感じる。
といっておきながら、写真を撮ったことはほとんどない。いつでも撮れると思うからだろうか。見ているだけで十分だからかもしれない。カメラを向けるのは本当に稀で、ときどきスマホで撮る程度だ。
今回、マクロモードを使って、2羽にカメラを向けてみた。普段はなかなかじっとしていないのに、カメラを向けると意外と動かない。警戒心からだろうか。アスペクト比は1:1、画角はスクエア、さらにモノクロに設定した。
普段は私の肩に乗ったり、テーブルの上をよちよちと歩いている、小さくあやうい存在を、いかにフォトジェニックな存在に見せるか。そんなことを考えながら、ポートレイト風、羽の質感によったもの、さらにピントをあえて外したり・・・といろいろ試してみた。意外と絵になる。でも次にカメラを向けるのはずっと先のことだろう。
小林紀晴
1968年長野県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。新聞社カメラマンを経てフリーランス。アジアを多く旅して作品を制作する。近年は日本国内の祭祀、自らの故郷である諏訪地域などを撮影している。『孵化する夜の啼き声』『深い沈黙』『写真はわからない』など著書多数。最新刊は『写真のこたえ』(2025.12)。写真集『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞、写真展『遠くから来た舟』で林忠彦賞、写真展『Cyber Modernity』で伊奈信男賞を受賞。初監督映画作品に『トオイと正人』がある。
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