日没前の15分から日没後の15分までの30分間は、太陽の光がいちばん綺麗になる時間だ。
撮影業界ではこの時間帯のことをマジックアワーという。カメラを持ってるなら綺麗な光に照らされた世界を撮った方がいい。だけどもっといいのは、カメラを置いて綺麗な世界を目でしっかり見ることだ。
ぼくはマジックアワーに高速道路を運転している時が好きだ。運転をしていればカメラにじゃまされず景色を堪能できる。とはいえやっぱり写真を撮りたいな……という欲望にかられる。車を運転していなければ見られない景色があり、そこにマジックアワーがかけ合わさるのだ。そりゃ撮りたい。
こういうときにインターバルタイマーが便利だ。ピントを∞にして、露出は絞り優先のオート。絞りはf2.8で感度もオート。走ってる感がほしいのでシャッターの低速限界は1/15あたりにしておく。3秒ごとにシャッターを切る設定にすれば30分で600枚撮影できる。
写真は数を撮れば当たる。ノーファインダーで撮っても、赤ちゃんがシャッターを押しても、ネコの首輪につけても、3%ぐらいは当たる。なので600枚あれば最低でも18枚は当たりがある。写真がダメな人って根本的な撮影枚数が少ないんだよね。
マジックアワーが始まる前のサービスエリアで、設定したGRをダッシュボードのじゃまにならないところに置いて出発する。ドライブレコーダーのようなものだけど、映像じゃないので途中でカメラが傾いても気にしない。トリミングで直せるし、なんなら写真が傾いててもいい。
うんざりするような暑さと紫外線と蚊のおかげで、いつの間にか夏がいちばん苦手な季節になってしまったけど、夏のマジックアワーはずっと好きでいられる。
幡野広志(はたの・ひろし)
1983年、東京生まれ。 2004年、日本写真芸術専門学校をあっさり中退。
2010年から広告写真家に師事。 2011年、独立し結婚する。
2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。
近年では、ワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」、ラジオ「写真家のひとりごと」など、写真についての誤解を解き、写真のハードルを下げるための活動も精力的に実施している。
最新著書「ポケットにカメラをいれて」(ポプラ社)。
https://note.com/hatanohiroshi/
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