GR III グリップデザインの秘密 (いなば)

2021.05.28 BLOG

こんにちは、いなばです。

今回は久々にGR III担当デザイナーとして、グリップのマニアックなお話を!
グリップについてはGR III発売間もない頃に記事を書かせて頂きましたが、もう2年も経つなんてビックリ!
※以前の記事は コチラ

まずはGR DIGITAL IVとGR IIIのボディを比較してみましょう。

GR DIGITAL IV

GR III

パッと見では似たように見えますが、違いが判りましたでしょうか?

GR DIGITAL IVは、ボディの稜線を削った様なデザインになっています。「C面(しーめん)」や「面取り」と言われるもので、稜線を削ることで指の当たりを良くする効果があります。このデザイン処理はGR/GR IIまで続きました。
※C面の「C」は"Chamfer"の略です。

では、GR IIIはどうでしょうか?チョット違いますね。
GR IIIの稜線は丸くなっています。これは「角R(かどあーる)」や「稜線R(りょうせんあーる)」と言われるもので、このデザイン処理よって指の当たりをソフトにしています。
※稜線Rの「R」は"Radius"の略です。

下の比較写真を見ると違いが判ると思いますが、同じGRシリーズでもデザインのアプローチが大きく違います。

左:稜線がC面の GR DIGITAL IV / 右:稜線が角Rの GR III

このデザイン処理の違いは、特にグリップを握る時の考え方の違いに由来します。
では、GR IIIでは何故デザイン処理を「角R」に変えたのでしょうか?

「C面」の良いところは、指の当たる角度を削られた面に合わせることでシッカリとフィットする事です。反面、指の当たる角度が決まってしまうので「C面」に合わせた指の角度を基準に他の指の位置が決まる為、ある程度のグリップスペースに余裕があるボディ形状が必要となります。GR DIGITAL IVからGR/GR IIまでは比較的グリップスペースが確保されているので、快適な握り心地が実現出来ています。

ところが小型化されたGR IIIは、レンズ部分の突出部とグリップとの間のスペースが狭く、まずはその狭いスペースの中で自分に最適な指の位置を決めて握ることになります。その為、グリップ下部の稜線に当る指の角度は、人によってまちまちになります。

異なる角度で指が当たっても、指の当たり心地に差が出ない様にデザイン処理を「角R」としました。

GR IIIの3Dモデリングデータ

上の画像はGR IIIの3Dデータです(本邦初公開?)こういったモデリングも実はデザイナー自身が作成しています。なかなか大変です!
今回は分かり易く稜線に色をつけてみました。
稜線の「角R」処理は指がどの角度になっても当たり心地に差が出ないのですが、丸みが小さいと当たっている指が痛くなるデメリットがあります。

そこでGR IIIでは「角R」に、もうひと工夫しています。

グリップ下部の稜線R(黄色い部分)

実はボディの稜線(青い部分)よりもグリップ下の稜線(黄色い部分)の丸みを大きくして指の当たりを更にソフトにしています。カドの丸みをすべて同じにした方がモノとしてはキレイなのですが「GR=道具」と言う考えに基づき、グリップした時に指が痛くならないように可能な限り稜線の丸みを大きくしています。
稜線の丸みが場所によって異なると見た目に違和感が出てしまいますが、そこはデザイナーの腕の見せ所という事で!

GR IIIをお使いの方は実際に触ってもらうと違いが分かると思いますので、是非触りまくってください。
究極のスナップシューターとしてGRを皆さんにガンガン使ってもらう為に、ちょっとした部分までもデザイナーが試行錯誤しているというお話でした(ちょっと固いお話だったかな?)


最後に最近凄い色の夕日を見る事が何度かあったので、思わず撮りまくってしまった写真をドーゾ。

GR III Avモード F6.3 SS1/6 ISO100 EV-2.7 CTE 撮影後カメラ内補正有

GR III Tvモード F7.1 SS0.5 ISO100 EV-1.0 CTE 撮影後カメラ内補正有

カメラ内のJPEG画質調整/ホワイトバランス補正/レベル補正で大胆に調整していますが、JPEG撮影した写真もカメラ内で結構調整できますよって事で(笑)

それではまた!

(いなば)

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