ニュー・ファームウェアでニュー・カラー!(あらいた)

2023.02.03 BLOG


GR III Diary Edition Special Limited Kit
の発売とあわせて、 新たな機能拡張ファームウェアが公開されました。

アップデートの目玉は「ネガフィルム調」ですね。
全体的にふわりと優しいトーンを再現しながら、独特の褪色感が特徴のイメージコントロールです。

先日の 大久保の記事によれば、1970年代の「ニュー・カラー」と呼ばれる作品も参考にしたとのことですので、さっそく僕も、当時のアメリカの田舎町をロードトリップしながら撮った"風"のスナップにトライしてみました。

GR III, P mode, 1/1000s, F8.0, ISO400, WB: Daylight +A6,
Image Ctrl: Negative Film (Sat+4, Hue-4, Contrast -4, Sharpness-4, Others; default value)

「ニュー・カラー」世代を代表する写真家のウィリアム・エグルストンやスティーブン・ショアの写真集を見ると、旅の途中で目にしたガソリンスタンドやダイナーの様子、民家の庭先やガレージ、さらにはモーテル内の備品など、何故これを撮ったのか?と不思議に思うような作品が次々と出てきます。

今でこそ、いわゆる ”ありのままの日常 ” を記録し公開することも表現手段の一つと理解されますが、五十年前の世の中で、決定的瞬間とも、グラフィカルな美しさとも無縁なモチーフに淡々とレンズを向けるスタイルは、当時の人々の目に斬新なものとして映ったことでしょう。

GR III, P mode, 1/640s, F8.0, ISO400, WB: Daylight +A6,
Image Ctrl: Negative Film (Hue+4, Sharpness-4, Others; default value)

ところで、今回掲載している写真は、すべて「ネガフィルム調」をベースとしつつ、初期状態からさらに色味を調整して仕上げています。
理由は、僕があまのじゃくな性格だから...ではなく、あえて濁った色調を再現したかったから。

GR IIIに限らず、現代のデジタルカメラはオートホワイトバランスが超優秀で、めったなことでは色転びが起きませんが、それゆえフィルム写真と比較すると描写がやや冷淡というか、清潔すぎる印象になる場合もある気がします。

GR III, P mode, 1/30s, F5.0, ISO400, WB: Daylight +A6,
Image Ctrl: Negative Film (Hue+4, Sharpness-4, Others; default value)

そのため、あえて色味の濁り感が増すような描写を狙って工夫を凝らしてみました。

具体的には、マゼンタやシアンかぶりしているような仕上がりを狙って、[色相]パラメータを調整しています。
もう一つは、ホワイトバランス。すべて[太陽光]を選択し、さらに、Fnボタンから微調整の画面に入って A (アンバー)側に振りました。

GR IIIx, P mode, 1/80s, F2.8, ISO200, WB: Daylight +A6,
Image Ctrl: Negative Film (Hue-4, Sharpness-4, Shading-2, Others; default value)

フィルム写真にはオートホワイトバランスという概念はありませんから、晴天下以外でのカラー撮影で色味が大きく変化するのはよくあること。

僕自身、写真を始めた頃にはタングステンや蛍光灯など、照明の条件に応じてフィルターを交換して撮ったものです。

GR III, Av mode, 1/30s, F4.0, ISO1250, WB: Daylight +A6,
Image Ctrl: Negative Film (Hue+4, Sharpness-4, Others; default value)

ということで、今回は僕なりの解釈で、ニュー・カラーっぽい作風にトライしてみました。写真はすべて東京都で撮影したものです。

これまでも、著名な写真家の作品を題材にしたトピックを掲載していますが、これらはすべて一人の写真ファンである、あらいたの独自見解に基づくものです。
読者の皆様も、お気に入りの作家・作品に出会ったら、自分なりの解釈で被写体選びから、撮り方、仕上がりにまでこだわって真似てみるのもよいでしょう。
きっと、新たな発見も多いですよ。

それから、昨日、まちゅこ。から告知させていただきましたが、「GR SNAP WEEKEND Vol.3」を2月17日~18日に開催します。
講評会の募集作品テーマは「陰影」ということですが、ネガフィルム調の作品も合うんじゃないかな。みなさま、ぜひトライしてみてください。

(あらいた)



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