【コラム】ポルトガルからはじまった旅/大門美奈

2022.03.25 BLOG

気づけば写真家デビューしてから今年で11年目となる。8年目くらいには10年目になったら何かしようと思っていたはずなのに、コロナ禍に翻弄されているうちに2021年は終わっていた。

11年前の1月、夫と私はRICOHフォトギャラリー RING CUBEの公募展で写真展を開催した。タイトルは「Portugal」。その名のとおり、ポルトガルを写した写真展である。
ポルトガルへは二十歳の頃伯母に連れられて行ったことがあったが、期待し過ぎていたためか、 タラのフライにポン酢をかけて美味しかったことくらいしか記憶が残っておらず、どうにかしてもう一度行ってみたかったのだ。
念願叶っての二度目のポルトガルは、はじめての二人旅からの二人展ということで 今度は夫婦喧嘩ばかりであったが、同じ時間 に同じ場所を歩いていても 見えている世界はここまで異なるものなのか、と改めて写真の面白さを感じたデビュー展となった。

その後数年して私は写真家の道へ、夫は会社員を続けているが、夫婦で写真を撮っていると互いが好きそうな光景というのが分かるようになってくる。一緒に出歩いていると、「ほら、あれ!」と指を差して写真を撮ったり撮らせたりすることがあるが、自ら撮らなくともそれはそれで不思議な満足感があるものだ。

公募展が終わる頃、二人で一台ずつGXRを購入した。
その後そのGXRを手に今度は二人でスペインへ出掛け、再び現地で派手な夫婦喧嘩をやらかしたことは言うまでもないが、あれから10年近く経った現在、久しぶりに二人で同じカメラを使っている。GRⅢ、そしてGRⅢxである。

この四台で撮影するのはなんでもない日常の風景。
買い物に行くスーパーへの道すがらの浜だったり、二日酔いの朝ずるずると啜るしじみラーメンだったり、キャンプの朝、静電気で逆立つ変な髪型だったり。
二人の見ている世界は以前よりは少しは近づいたかもしれない、なんて思っている。

夏になったら浜で一緒にポルトガルワインを飲もうか。たぶんまた忘れてしまうだろうけれど。


大門美奈(Mina Daimon)
横浜出身、茅ヶ崎在住。リコーRING CUBEの公募展をきっかけに写真家となる。作家活動のほかアパレルブランド等とのコラボレーション、またカメラメーカー・ショップ主催の講座・イベント等の講師、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿を行っている。個展・グループ展多数開催。代表作に「本日の箱庭 」・「浜」、同じく写真集に「浜」(赤々舎)など。
www.minadaimon.com








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