【コラム】GR二刀流の流儀/大門美奈

2021.12.24 COLUMN

40mmという画角は気持ちが良いものだ。
フィルム一眼レフをメインカメラとして使用していた頃、最も愛用していたレンズが43mmだったということも影響しているのだろうか、私にとって40mm前後の視界というのは非常に収まりの良い画角である。

GR IIIxが手元にやってきてからというもの、どこへ行くにもGR IIIとGR IIIxの2台を小さなトートバッグに入れて出かけるようになった。
この夏購入したバッグにはちょうどGRが2台入るサイズのポケットがついていて、写真関係者に会うたびにバッグからGRを2台同時に引き抜いて得意げな顔をしていたら、ある編集者がニヤニヤしながら「大門二刀流だな」とつぶやいた。
さすがに2台同時に撮影するなどという芸当は難しいが、なるほど「二つの異なる手段をもって事にあたること」というのが二刀流の定義ならばまさにこれは二刀流である。

GR IIIにはFnボタンにクロップ機能を割り当てているため、GR IIIxでなくともGR IIIで35mmクロップをすれば良いのではないかと当初思っていたのだが、このワンアクションがスナップシュートには大きく影響する。速写性がGRの得意分野の一つであるから、ひと手間はかけないほうが良い。
28mmと40mmで見える世界を役割分担できるのだ。スナップするには出来るだけ身軽でいたほうがいいが、GRなら2台に増えたところで負担が増すということはない。
今日は本差(ほんざし)がGR IIIで脇差(わきざし)がGR IIIxといったように、その日の調子によって使い分けできるのは、新しい手技を手に入れたようで気分が良いものだ。

躊躇なく近寄れるストリート系GR IIIと、35mmでも50mmでもない微妙な揺らぎのあるGR IIIx。
どちらがいいという話ではなく、そのとき感じた印象によって視界を切り分ける2台の選択肢。
この2台があれば何でも撮れるというわけではないけれど、撮りたいと思ったときに2台のGRがあるというこの小さくて大きな安心感は、私の背中をそっと押してくれる原動力になるのだ。

今日もGR IIIとGR IIIxをバッグに。最近お気に入りの大洋盛はワンカップでいこうか。

 
大門美奈(Mina Daimon)
横浜出身、茅ヶ崎在住。リコーRING CUBEの公募展をきっかけに写真家となる。作家活動のほかアパレルブランド等とのコラボレーション、またカメラメーカー・ショップ主催の講座・イベント等の講師、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿を行っている。個展・グループ展多数開催。代表作に「本日の箱庭 」・「浜」、同じく写真集に「浜」(赤々舎)など。
www.minadaimon.com

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