GRは控えめなカメラ (あらいた)

2021.07.13 BLOG

あらいた、ひさびさの投稿です。

海外のストリートフォトグラファーとGRの話をすると、しばしばDiscreetという表現が出てきます。
この言葉、英語の辞書には「思慮深い」「分別のある」と言った意味の形容詞と記載されていますが、人格を持たないカメラに対して"思慮深い"という表現は違和感ありますよね。
僕自身は、Discreetを「控えめ」「気を遣わせない」くらいの意味と捉えるのがしっくりくると思っています。

GR III, Av mode, 1/125s, F7.1, ISO800, Retro, Snap 2.5m
ハイライトのソフトな印象を強調するため、明瞭度を-4で仕上げています。

上の写真は、渋谷駅のコンコースで撮ったもの。
斜めからスポットライト的に光が差し込む場所を見つけ、人物が通過するタイミングを待って撮影したうちの1枚です。
こういう場面での"撮れ高"に関しては、GRのクイックさと共に、つつましく控えめな外観が大きく貢献していると思います。

GR III, Av mode, 1/13s, F6.3, ISO100, HDR Tone, Snap 2m
以前掲載したシーンでの別カット。こちらはHDR調でパキッと仕上げました。

自分もそうなのですが、カメラの前を通過する時は、創作や取材の邪魔をしてはいけないという心理から、自然と歩みを止めたり、遠回りしたり、という行動を取ることが間々あります。
撮影機材が仰々しく 立派であればあるほど、その傾向は強くなるものでしょう。

一方、GRのようなちっぽけなカメラですと、逡巡することなく平然と目の前を横切ってくれる。
これ、僕のように人の気配を都市の添景として利用したいスナップファンにはとてもありがたいことです。

GR III, Av mode, 1/400s, F2.8, ISO1600, Cross Processing, Snap 5m

大切なのは、撮れ高だけじゃないですね。
可能な限り歩行者や生活者の邪魔にならない、気を遣わせない、というファクターは同時に、必要以上に恐縮しないでいられる、という撮影者側のマインドにも影響を及ぼしているはずです。

控えめだけど配慮ができる有能なやつ。
この点でGRに勝るカメラはなかなか見つからないと思います。

(あらいた)

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