こんにちは、かつです。
今回の記事では、焦点工房さんが先行発売している、フィルムパトローネ風外観の超小型フラッシュライト
銘匠光学 TTArtisan M01 ミニフラッシュ + J01 トリガー セット
https://stkb.jp/shopdetail/000000002271/
を個人的に購入したので、GR IIIと組み合わせて試してみた、という内容です。
(昨年夏に発売されたらLEDライトも持っていますが、こちらのフラッシュのほうがGRと相性が良さそうなので早速記事にしてみました)
結構マニアックな内容なので、そこはご容赦ください。

商品概要やスペックは、先に紹介したURLをご参照ください。
まずは製品の特徴把握をしてみました。
■J01 トリガーについて
発光部の説明が長くなるので、トリガー部(電波を利用し、遠隔発光させる部材)の説明を先にさせて頂きます。
こちらがあると、1灯であっても発光部の位置や向きが自由になり、撮影の幅が広がると思いセット購入しました。
何もしなくても互いの電源を入れるだけでペアリングしました。とても簡単に使えます!
一方、説明書等にペアリングに関する記載がありませんでした。予めペアリング済の品物をセット販売されているのかなと想像しますが、詳細は不明です。
3台まで多灯発光可とありますが、後からM01ミニフラッシュを追加できないのではないかと想像しています。
多灯を楽しみたい方は、予め必要な数量のセットを購入されたほうが安心と思います。
■M01 ミニフラッシュについて
色温度は5600K、マニュアル発光のみ、フル発光でのGNは12、
1(FULL), 1/2, 1/4, 1/8 の4段階の発光量が選べます。(外観に全部書いてあってわかりやすい)
発光量を変更する際のステップが大き目ですが、他の設定で調節が可能な範疇かと思います。
近接撮影に強いGRを考えると、1/16, 1/32 くらいまので弱い発光量設定が欲しいと思ってしまいますが仕方ないところでしょう。
小さく軽く安く、とても気軽にストロボ撮影が楽しめるのが魅力です。
「M01 ミニフラッシュ」のみをGR IIIに取り付けた場合、人差し指だけで発光量調節ができ、その設定は側面の赤いLEDの数ですぐわかるのでとても相性が良いです。

発光について、鏡筒(レンズのある筒)の影が落ちるような強い干渉は感じません。
発光中の様子をカメラを横から撮影した様子が以下です。発光角度は上下均等ですが、主となる光は上下方向が狭いようです。
(こういう撮影はJ01トリガーがあると容易に行えますね!)

約1.5m離れた暗い屋内の白壁を、ストロボ光だけで撮影した様子が以下です。

GR III 換算28mm, マニュアル露出モード, F2.8, 1/250, ISO200, WB 曇天, M01 ミニフラッシュの発光量は1/4
撮影画像を見た際の横方向の発光角度は換算28mmの画角においても十分にあるようです。しかし、発光ムラ(発光の中心が強い光で映像の周辺ほど暗くなる)があることと、前述の上下方向の発光角度が狭いことから、映像の下側が暗くなる傾向があるようです。(強く鋭い光は鏡筒の影響を受けていませんが、やわらかい弱めの光は鏡筒が遮っているかもしれません)
このような光のムラは、「J01トリガー」があるとリカバリできます。
他の撮影バリエーションも増えますので、個人的には、トリガとのセット購入がおすすめです。
また、ストロボも備えたレンズ付きフィルムで撮影したようなノスタルジックな味わいが出のるは、このような配光特性からきているものと思われます。
実被写体で均一な壁を撮ることは稀でしょうから、この特性を生かすような使い方をするのが良いと思います。
余談となりますが、
GR/GRII の発光部と比べてみると、発光菅は似たような雰囲気ですが、リフレクターやデフューザーの作りがまったく異なります。
M01 ミニフラッシュの発光部は上下方向が狭いです。(M01 ミニフラッシュは、発光面の中心付近にある透き通った小さな長方形部分が光ります)
このあたりで、上下方向の配光特性が狭いのかなと思いました。

さらに、GR/GR II で同じ条件で白壁を内蔵ストロボ発光して撮影してみると、配光の具合が圧倒的に良いことがわかります。
GN5.4と控えめな公称値には配光特性が良いという背景を察することができますね。

GR 換算28mm, マニュアル露出モード, F2.8, 1/250, ISO200, WB マルチパターンオート, マニュアル発光, 発光量は1/8(光が均一なため、あえて暗い発光量にして配光特性をわかりやすくしています)
■GR特有の便利事項
「M01 ミニフラッシュ」の製品ページには、同調速度 1/250 記載されていますが、レンズシャッターであるGRシリーズで利用する場合、その制約は変わるのではないかと思い調べてみました。
M01 ミニフラッシュをGR IIIに直接取り付けた場合、
F2.8 における最速シャッター速度 1/2500 や F5.6 における最速シャッター速度 1/4000でも、おかしな明るさのムラは感じませんでした。
全域で同調できるようです。
J01 トリガーをGR IIIに取り付け、無線発光させた場合には、1/250, 1/320, 1/400までが同調でき、1/500から同調できなくなりました(ストロボ光に頼った撮影では真っ黒になります。恐らくシャッターが閉じてから発光していると思われます。)
フォーカルプレーンシャッターを持つカメラ向けに開発されているストロボですの通常の振る舞いです。応答性能に余白があり、良い出来ではないでしょうか。
直接取り付けた場合は、GRシリーズならば全域で同調できるという発見がありました。
ストレート発光に限定されますが、日中シンクロ等が気軽に使えるようになるのはとても便利ですね。
■使用例
色々といじわるなことも含めてストロボの特徴把握をしてきましたが、ここからが使用例となります。作例とは言いにくく、ストロボの効果を説明するような写真となりますがお許しください。
購入からあまり時間もなかったこともあり、「日中」と「夜間」の光を補う(シンクロ撮影)例が1つづつとなります。
ストロボ発光をしなかった場合も併せて掲載しますので参考にしてみてください。


何れも、GR III 換算35mm, Av露出モード, F2.8, -0.7EV(1/800), ISO400(指定), WB 曇天, M01 ミニフラッシュの発光量は1/4
同じ設定で撮影し、1枚目がストロボあり、2枚目がストロボなしです。
日中といっても夕方ですが、シャッター速度が1/800ということで「日中シンクロ」の例として扱わせてください。
逆光になる背景に夕方の雰囲気を残すと、手前の花は黒い影となってしまいますが、ストロボによって前景を目立たせることができています。
続いて「夜間」の例です。


何れも、GR III 換算28mm, マニュアル露出モード, F2.8, 1/2, ISO200, WB 曇天, M01 ミニフラッシュの発光量は1/2
同じ設定で撮影し、1枚目がストロボあり、2枚目がストロボなしです。
手振れ補正を信頼して1/2秒の手持ち撮影をしています。「スローシンクロ」に該当する設定ではありますが、動くものがないのでなんともな例で申し訳ないです。
1枚目では、ストロボ発光により影が減るだけでなく、銅像の色味が程よくでています。2枚目は同じ設定ですのでただ暗い写真になるわけですが、仮にISO感度を上げて適正露出で撮影したとしても、銅像の色味は周りの照明の色につられて銅像らしくは表現できません。
使用例の写真はありませんが、使っていて気づいた事項(撮影のコツ)を箇条書きしておきますね。
・日中シンクロのようなケースでは、カメラ任せのAE,AWBで撮影しながら、足りない光を補えばよい。
・夕方や屋内程度の明るさになってくると、カメラ任せのAEに対し、露出補正をマイナスに調整する必要が出てくる。
・夜間屋外など完全に暗い所では、ストロボ発光量とマニュアル露出モードのパラメータを調節する必要がある。
・ストロボ光が主な被写体の光となる場合、ホワイトバランスは「曇天(雲マーク)」に合わせると、ストロボ光が当たった所が自然な色味になる。(厳密には、ストロボ側に記載のある 5600Kより僅かに低い色温度向けの設定ですが、簡単に扱うには便利な設定です)
・本当は、今回のような使用例ではなく、日の丸構図で1~2m先の人物を撮るときの方が使いやすいと感じました。
■他のカメラで利用する場合にも応用できる小技
小さなストロボと小さなカメラの組み合わせ。左手にストロボ右手にGRをもてば天井バウンズは容易でしたが、ちょっと小技をみつけたので最後に紹介しておきます。
100円ショップで小さな磁石を売っているのですが、それを「J01 トリガー」天面に貼り付けました。「M01 ミニフラッシュ」の外観は金属ですので、固定できるようになります。
このようにすると、横位置、縦位置で天井バウンズする時には以下のように発光部の首が振れます。


磁石の貼り付け方にもっと工夫の余地があると思いますが、皆さんそれぞれで試行錯誤してみてください。
■まとめ
TTL調光によってピタッと露出がきまり、テンポ良く撮影したかったり、赤目低減や後幕発光を利用したいという方には、PENTAXのオートフラッシュ、特に小型なAF201FGをお勧めするわけですが、
マニュアル発光と露出設定(マイナスに補正したり、マニュアル露出モードを使ったり)の試行錯誤や、左手にM01 ミニフラッシュ、右手にJ01 トリガー付きのGRを持ち、発光位置や向きの試行錯誤も楽しみたいという方には、「TTArtisan M01 ミニフラッシュ + J01 トリガー」はとてもお勧めの商品でした。
ノスタルジックな写りが非常に楽しかったです!
(かつ)