【コラム】猫との時間/木村和平

2023.11.24 BLOG

なかなか涼しくならず、いかに夏が嫌いかを引き続き書こうと思っていたら、この数日で突然冬が訪れた。今年も秋をほとんど体感せずに過ぎ去ってしまったことを寂しく思う。けれどそれよりも断然うれしさが勝り、身体が布で覆われる安心感や、布団に入った瞬間のひんやりとした気持ちよさ、そして冬の外で吸う煙草の美味しさなどなど、冬の好きなところを挙げるときりがないけれど、なかでも猫と触れ合う時間が増えることが一番のよろこびだろう。


我が家には二匹の猫がいる。今私の膝の上に乗ってゴロゴロと喉を鳴らしているのがヒマラヤンの「つぶて」、そしてこの原稿を打ち込むパソコンの背後から巨人のように顔を覗かせているのがエキゾチックロングヘアの「さよ」だ。
つぶては石ころみたいな顔をしていたから、さよはお迎えしたときに『六番目の小夜子』を読んでいたから、というのが名前の由来。本当にこれでいいのかしらと初めは頭を抱えたけれど、いまでは結構気に入っている。
しかし私が「湯たんぽ」とか「エンジン」とか「恵比寿さま」とか、日によって呼び方を変えているせいか、ふたりとも自分の名前をあまり理解していないように思う。どちらも長毛の男の子で、見た目も似ているけれど、性格は正反対。つぶては臆病で甘えん坊、さよは堂々としているが触られるのが苦手。どちらも最高の家族。


猫との暮らしにはいつも驚かされる。昨年導入したあたらしい猫ベッドは、はじめの数ヶ月は毎日ふたりでぎゅうぎゅう詰めになって寝ていたけれど、いまでは全く入る気配がなくオブジェと化している。その代わりに、人間が座るふたつの椅子にそれぞれが鎮座していて、「すみませんね」とか言いながらつぶてに降りてもらって私が座ると、すぐさま膝の上に乗ってくれる。夏の間は見られなかった光景だ。


日頃から猫の写真をたくさん撮る。しかしいつも、とてもむずかしい。わんこのように待てはできないし、カメラもあまり見てくれない。それに加えて、素晴らしいポーズで毛繕いをしているさよにカメラを向けると、すぐに気づいてこちらに走ってきてしまう(くれる)。おもちゃで誘導することもあるけれど、それをフィルムのマニュアル機で瞬間的に撮るのは、なかなか至難の業であろう。私がGRの機動力の高さと目立たなさを最も体感するのは、ひとを撮るときでも街を撮るときでもなく、猫を撮るときだ。


左手で猫を撫でまわし、右手でGRを操る。私にとって、猫との触れ合いと撮影行為はほぼ同義だ。彼らは撮られることを不満に思ったりしているだろうか。猫たちよ、毎日今日が一番かわいい!すみませんが、本日も撮らせていただきます!



木村和平
1993年、福島県いわき市生まれ。東京在住。
ファッションや映画、広告の分野で活動しながら、幼少期の体験と現在の生活を行き来するように制作を続けている。
第19回写真1_WALLで審査員奨励賞(姫野希美選)、IMA next #6「Black&White」でグランプリを受賞。主な個展に、2023年「石と桃」(Roll)、2020年「あたらしい窓」(BOOK AND SONS)、主な写真集に、『袖幕』『灯台』(共にaptp)、『あたらしい窓』(赤々舎)など。
Kazuhei Kimura (@kazuheikimura)




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