【SENSE】VOL.10 石川直樹さん

2023.07.10 BLOG

 
2023年3月。ネパールにあるアンナプルナという山に登るための遠征にGR IIIxを持参した。といっても、頂上まで持っていったわけではなく、標高4200メートルのベースキャンプで、日記をつけるような気持ちでGRを使った。

ぼくはフィルムのカメラをメインで使っているのだが、こうしたコンパクトデジタルカメラも、極地遠征にたびたび持っていく。
スマホに転送してSNS用の写真を撮る、という現実的なところもあるが、その日に見たものや、通り過ぎた風景を忘れないようにメモ代わりに撮ることも多い。

こうした日常的に気軽に使うカメラはレスポンスが速くて、操作がシンプルなものがよく、GRはその点で過不足がない。カメラのディスプレイで仲間に写真を見せるのにもいい塩梅だ。

山では、カメラの重量がそのまま苦しさになって跳ね返ってくる。ゆえに、ポケットに入れて持ち歩けるGRは意外に多方面で活躍するのである。本動画(SENSE)内の山での動画の一部は、ずっと昔、GR DIGITALの頃に、GRの動画機能で撮ったものだ。

ぼくは今、夏のパキスタン遠征に向けて準備の真最中なのだが、またこのGRを服のポケットに忍ばせて日々の些細な出来事を記録してこようと考えている。

実はそんな写真こそが、後から大切な一枚になってくることをぼくはこれまでの経験からよく知っている。


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石川直樹
1977年東京都渋谷区生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。

2008年『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞。2020年『EVEREST』(CCCメディアハウス)、『まれびと』(小学館)により日本写真協会賞作家賞を受賞した。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)、『地上に星座をつくる』(新潮社)ほか。

主な個展に『JAPONÉSIA』ジャパンハウス サンパウロ、オスカーニーマイヤー美術館(ブラジル/2020-2021)。『この星の光の地図を写す』水戸芸術館、新潟市美術館、市原湖畔美術館、高知県立美術館、北九州市立美術館、東京オペラシティアートギャラリー(2016-2019)。『K2』CHANEL NEXUS HALL(東京/2015)、『ARCHIPELAGO』沖縄県立美術館(沖縄/2010)など。

作品は、東京都現代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、沖縄県立美術館等に収蔵されている。最新刊に『Kangchenjunga』(POST-FAKE)、『Manaslu 2022 edition』(SLANT)など。
http://www.straightree.com/


 

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