GR IIIxで撮る星空(かつ)

2021.10.19 BLOG

こんにちは、かつです。

10月に入り緊急事態宣言が解かれ、今年初、やっと星の光を浴びてくることができました。
なんとか天気にも恵まれ、GR IIIx試作機で星空を試写することができました!
撮れたてホヤホヤ写真での報告記事となります。


ところで、「星空のある風景写真」と聞くと「広角」と想像してしまうことも多いのではないでしょうか?
35mm版換算で40mm相当画角のGR IIIx、このジャンルで28mmよりも得意なことがあるんです。

まずは、GR III と GR IIIx の画角の違いを見比べて、みましょう。

どちらも、ローパスセレクタ強、手振れ補正OFF、F2.8 ISO3200 25sec露光、RAW現像でトーンカーブと色味を調整しています。

左がGR III、右がGR IIIxです。
いずれも F2.8 ISO3200 露光時間 25sec で撮影。RAW現像で、諧調を星景写真向けに調節し、色味を整えまました。
星空撮影ではローパスセレクタ強、手振れ補正OFFをお忘れなく!

画面中央に明るい三連星が縦に並んでいます。これらを中心とした有名星座、オリオン座が東の地平から空に昇る姿です。
オリオンの体にあたる星の並びは、砂時計やリボンのようにもみえます。
(この写真では街明かりが強く、地平に近い明るい星が目立ちませんが、、、)
画面中央遠方に連なる山並みは、八ヶ岳です。


さて、GR IIIxがこのジャンルで28mmよりも得意なこと。
それは、「有名な星座1つを主役にしつつ、風景もともに納める」ということです。


それでは、他の星座でも試してみましょう。

ローパスセレクタ強、手振れ補正OFF、F2.8 ISO3200 25sec露光、RAW現像でトーンカーブと色味を調整しています。

画面中央やや上に北斗七星が横になっています。
七つ星を「柄杓」とみるか、もう少しほかの星も合わせて「おおぐま」とみるかは人それぞれです。
この写真では、柄杓としてみて撮影していました。おおぐまとして枠に入れても丁度よさそうです。


有名星座の多くは、50mmの画角に全体が丁度収まると知られています。
人間のイマジネーションによって明るい星の並びに意味を持たせたわけですから、標準レンズと呼ばれる画角に丁度収まることは、なんだか腑に落ちる話です。(何事にも例外がありますけれどね)

このことと、デジタルカメラの高感度画質向上に伴い、狭い画角でも短い露光時間で、星空と風景を共に納められるようになってきているため、多くの方々が焦点距離が長い画角でもこのジャンルの作品を増やし続けています。
(海外では、500mm付近の焦点距離でアンドロメダ星雲+風景+人物 なんていう素晴らしい作品を目にしたこともあります。)
どんどん普通の風景写真との垣根がなくなり、画角の選択肢が増えてきているのです。

こんな事もあり、私自身も過去から 50mmの画角で星空のある風景写真を撮ってきていました。
そのうえで気づいたこととしては、「星座によるものの、40mmのほうが50mmよりほどよい余白がある」です。
そして、28mmでは横並びで有名星座2つがキツキツに収まる程度の広さです。1つを主役にするには広すぎます。


換算40mmという画角が、有名な星座1つを主役にしつつ風景も共に納められることが判っても、地平に近い位置にクッキリと星座を捉えられるほど暗く(街明かりの影響が少なく)、遠方の雲に邪魔されない場所や天気に恵まれるという条件を揃えるのは難易度が上がります。

そんな時には、建造物を前景にもってきて、少し見上げる構図とすると収まります。

ローパスセレクタ強、手振れ補正OFF、F2.8 ISO3200 25sec露光、RAW現像でトーンカーブと色味を調整しています。

これは、文字だけで星座判別して頂くのが難しいかもしれないので、星座線入りを添えています。緑が白鳥座、赤い四角が夏の大三角です。
白鳥座の中心部分はノーザンクロスともいわれます。十字架がドームに刺さっているようなイメージで撮っています。
建物の左下に明るく輝いているのが、彦星。右下が織姫です。白鳥のしっぽと合わせて夏の大三角と呼ばれます。

白鳥座だけでなく夏の大三角もいれてみましたが、大きな構造を収めるにはちょっと窮屈ですね。
やはり40mmは、星座1つを引き立てつつ風景も入れることに向いています。


星座全体を入れるのもよいですが、私たちが住む天の川銀河の中心方向を入れるとどうなるでしょうか?

ローパスセレクタ強、手振れ補正OFF、F2.8 ISO3200 20sec露光、RAW現像でトーンカーブと色味を調整しています。

天の川はついつい広角で広い範囲を収めたくなるのですが、こういった特徴的部位の切り出しも良いものです。
地上の光が強く、雲もない夜であったため、雲海で街の光が蓋をされることもなく天の川中心部が弱くなってしまいましたが、山の稜線や観測所を引き立てています。

人による許容範囲が違いますし、印刷サイズやWeb向けリサイズサイズによるところでも許容範囲は変わりますが、GR IIIxは固定撮影で気軽な星空+風景のスナップもなかなか楽しめるカメラです。
とはいえ、換算40mmの画角で 25秒も露光すると、大きなプリントで星の流れが目立つことは否めません。
APS-Cサイズ、2400万画素のセンサーを搭載したカメラとしては、現状可能な限界まで頑張っているのですが、撮りたい写真を軸に乱暴な希望だけ書いてしまうと「あと1段シャッター速度を速くするために、高感度画質側が粘れるとうれしいなー」と思います。


さてさて、最後にちょっとしたトピックを。
2021年10月21日は、GR DIGITAL IVにてインターバル合成機能が搭載されてから10周年を迎える日です!
おそらく、星の光跡用の比較明合成がカメラの中で完結する最初の市販品がGR DIGITAL IVと記憶しています。

本来は、都市部でも星の光跡が撮影できる機能であり、それを推したいわけですが、今回は暗い場所で撮ってまいりました。

ローパスセレクタ強、F2.8 ISO3200 25sec露光の設定で約20分間インターバル合成。RAW現像でトーンカーブと色味を調整しています。インターバル合成の場合、手振れ補正は自動でOFFとなります。

こちらは、この夜の終わり際、縦になった北斗七星の光跡です。光跡写真になったとたん多くの人が星座を見失うので、こちらも星座線をいれた写真も添えました。

ローパスセレクタ強、F2.8 ISO3200 25sec露光の設定で約25分間インターバル合成。RAW現像でトーンカーブと色味を調整しています。インターバル合成の場合、手振れ補正は自動でOFFとなります。

こちらは、GR IIIとの画角比較撮影をしたあと、昇るオリオン座の光跡をGR IIIxで撮影したものです。
オリオン座は星座の王様と呼ばれることもあるほど、明るい星々があつまっています。
GR IIIxでもローパスセレクタ強のおかげで、ベテルギウスの特徴的な星の色もよく出ています。

どちらも、暗い場所のため光跡が沢山写りすぎるので、撮影時間は20分付近までに抑えてあります。
Web用にリサイズするとほとんどわかりませんが、40mmの画角で東→南→西の空の星の動きは大きく、いじわる観察すると少々光跡がとぎれとぎれになります。
GR IIIxのインターバル合成は、GR IIIと同じく、撮影と撮影の間が1秒かからないようになっていますが、焦点距離が長くなると見かけの星の動きが大きくなりますので現状では致し方ない所です。
暗い場所で20分の光跡ならば、バルブタイマーで撮り切ったほうが良いかもしれませんね。

そして、都市部でもGR IIIxやGR IIIでインターバル合成をつかって撮影しなくちゃと心を新たにした所です。
星座と40mmの関係もお伝えできたことですし、それは星の光跡撮影でも同じです。
みなさんも、色々な星空撮影にチャレンジしてみてください。

(かつ)

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