GRist

= GRist = 田中希美男さん登場!!

2007-03-23
こんにちは、ヒロです。

今回は、「GR DIGITALパーフェクトガイド」(ソフトバンクパブリッシング社刊)の記事解説や監修もしていただいている田中希美男さんを追いかけて、早春の京都にやってきました。

京都は田中さんの出身地でもあります。私は以前からGR DIGITALをもって京都を散策してみたかったので、とても楽しみにして行きました。暖かですこし汗ばむくらいの最高のお散歩日和。お仕事の合間の時間をいただいて、撮影ポイントを数か所案内していただきながら、恒例のGRistインタビューをしてきましたので、ご紹介します!

GRist No3.田中希美男

■普段撮影に出かけるときはどんな機材を持って出かけるんですか?

(今日はGRを2台(内1台は21mmワイコン付き)を持ってきてくれていました)


田中さん(以降 田) :
撮影条件や目的によって違いますが、今回のような、ちょっとした撮影に出かけるときは、01.jpg一眼レフを2台以上(両方ズームレンズを付けている時もある) と交換レンズ数本。それからコンパクトカメラを1~2台位かな。コンパクトを持っていくのはフィルムカメラのときからずっとそうです。

中判カメラでも必ず複数台を用意します。万が一こわれたときの保証みたいなもんです。心配性なんですかねえ、ぼくは。一眼レフがそれぞれ別のメーカーのものだと、そんなことはあまりやりたくないですけど、交換レンズも倍持って行くことになります。

ヒロ(以降 ヒ):それは結構な荷物ですよね。

田:
だけど、この位なら(一眼レフ1台とコンパクト3台)カルいもんですよ。大型の一眼レフ2~3台プラス交換レンズなんてへっちゃらですよ、数時間歩きっぱなしでもだいじょうぶっ(笑)。ただし三脚は持って歩きません。
三脚はきらいです。
 
■GRDの設定は普段どうしていますか?

田:GRDの場合は基本的には、露出補正は-0.3補正です。このほうが自分の好みにぴったりするんです、特にGRDの画像は。02.jpgAFは必ず中央一点のスポットAFモードです。これはゼッタイ、必ずです。ISO感度は100が基本ですが、ときどきオートにすることもありますし、もっと高感度を選ぶこともあります。ぼくは高感度ノイズをあまり気にしませんから。

露出補正は頻繁に行います。これはしょっちゅうやりますね。
露出補正して撮ることは大事ですよ、とくにデジタルの場合は。なにもGRDの測光がナンであるから露出補正を、というわけではありません。理屈を話せば長くなりますが、とにかく大事。
露出補正の操作が面倒なときはAEロックをどしどし活用してます。オートブラケットを利用するのもいいですね。

ヒ:他のカメラでもAFはSPOTで使っているのですか?

田:そうです。いつもスポットAFです。数十点の多点AFの一眼レフでも、中央1点ですねえ。というのは、狙った所にピントを正確に確実に合わせて写したいからです。広角レンズだからとピントをぞんざいにしちゃいけません。
動体を撮影するときだけは多点測距を選ぶこともあります。カメラにまかせますよ。たとえば、クルマの流し撮りなんかですね。

ヒ:画質パラメーターは変更していますか?また、その使い分けはどうしているのでしょうか?

田:

設定1:コントラスト -1/シャープネス 0/彩度 +1
設定2:コントラスト +1/シャープネス 0/彩度 +1

これを「設定」の1と2に登録しています。例えば、曇り日でどんよりしているときに、気分的にパッとした仕上がりにしたいときは「設定2」とか、天気の良い日でハイコントラストのときは「設定1」を選ぶという具合です。彩度を「+1」にしている、のがミソですね。理由は秘密です(笑)。
シャープネスをいつも「0」にしていますが、これはぼくはシャープの強い写真がキライなだけです。ホワイトバランスはデーライト基本ですけど、AUTOもよく使います。その辺はケースバイケースですね。
うーん、こればかりは経験とカンですので説明しにくいなあ…。

 
■スナップ写真のコツ等を教えてください!

田:えーっ、いきなり凄いことを聞くんですねえ。難しい質問だなあ…。
これは昔から言っていることだけど、とにかく被写体に寄って撮ることが、まず基本です。困ったら、まず近づいて写してみることです。
特に、28mmのような広角の場合はぐんぐんっと寄ることです。

03.jpg試しにですが、ぐっと寄って自分でこれで良いと思った構図でまず1カット撮影しておく。それで、田中にダマされたと思っていいですから、そこから2歩前に出て撮ってみてください。そうすると、たぶん、たぶんですけど前に出て写した方が良い写真になっていると思いますよ。
そして、前に出て写すことができるようになったら、今度は逆に引いて写す。そうするととてもシャレた写真が写せます、たぶんね。
21mmの場合は3歩前に出るくらいの気持ちですねえ。初心者の場合はなら、3、4歩、思い切って前に出る。それくらいの思い切った気持ちで撮影をしてみるといいかもしれないですねえ。

広角レンズを使って撮ると説明的写真になりがちなんです。つまらんですよ、そんな写真は。写真は饒舌すぎるとおもしろくない。
写真はその場にいなかった人に、写真を見ただけであれこれ想像力を喚起させ、まるでその場所にいるような気持ちにさせられるほどおもしろい、とぼくは思ってます。たった5秒でもいいです、じっと見つめてくれれば、その写真は成功です。

とにかく、ググッと被写体に寄って、写真をシェイプアップするんです。贅肉を取る。テーマを絞り込むためのいちばんカンタンな方法が近づいて写すことなんですよ。フレームから被写体がはみ出したっていいんですよ。単焦点だと安易にズームしないし、カラダを動かすからよけいよろしいですね。

ヒ:田中さんの写真では京都の家並みを横切る僧侶とか舞妓さんとかが、絶妙に入っていていつもそういう写真が撮れたらいいな、と思っているのですけど、どうしたらいいんでしょう?

田:
GRDを構えると自然にそういう被写体が画面の中に入ってくるんですよ…、というのは冗談ですが、ぼくとしてはそんなに意図して写してるわけではないです。04.jpgもし、構図の中に人など、添景ですね、それを入れたいのなら、一つは待つこと。
もう一つは、フレームの外の動きを常に気にしておくことです。ここでポイントは、その狙った被写体が画面の中の望むところにくるまでじっと緊張してカメラを構えてないことです。
そんなことしてちゃ、ネコでもイヌでも雰囲気を察知して逃げていきますよ。シャッターチャンスのときに、さっと構えて撮ることです。
たとえば、フレーミングをあらかじめ決めておき、ピントを合わせシャッターボタンの半押しをしたままAFロックして待つ、といった具合かなあ。

ヒ:
京都ならではの写真を撮るコツはありますか?

田:
京都はぼくのふるさとです、生まれて育ったところですので、ぼくの感じている「京都」とみんなの思っている「京都」とはちょっと違うかもしれませんね。だから、 たまたま2~3日京都に訪れて撮影をする機会があったら、という観点でお話ししますね。

京都の街は建物のせいなのでしょうか、直線が多いのですね。縦や横の直線が多い。この直線をウマくいかしてフレーミングするというのがポイントかもしれませんね。縦の線も横の線も、めったやたらに傾いて写ってたりすると見映えもよくないですよね。スナップでもそういうことにちょっと配慮して写すことも大事かもしれません。06.jpg
まずカメラを正しく構えることです。カメラを傾けるなら意図的に大胆に傾けたらいいんです。被写体に正対し、真正面からしっかり撮って線がゆがまないように撮るとそれだけでも京都の写真は面白く写ると思います。気持ちとして正座して写してみたらどうでしょうか。
だから、そうですよGRDはディストーションがとっても少ないから京都の撮影に向いている、と(笑)。


ヒ:
と言われても、なかなか難しいです(笑)。写真のセンスがないのかなあと思っちゃうこともあります。

田:写真のセンスがない、なんて悲しいことを言わないで下さいよ。ぼくは、誰でもどんな人にも必ず「表現するセンス」はあると確信してます。06.jpgないなんて人はいないと思う。
まず自分自身のセンスに自信を持つこと。いいじゃないですか、他人にどんなことを言われようが。ぼくなんかめちゃくちゃ言われてきましたから。

ただし慢心しちゃいかんですね。自信を持つこと、そして写真を愉しむことです。上手下手を考えすぎないことです。愉しくたくさん写してれば、誰でもそのうち上手くなりますよ。

ヒ:上手な写真が撮りたいと小手先のテクニックに走る前にやってみます。ところで京都の街角をスナップするときのなにか注意点などはありますか。

田:
まず、歩くことですね。 できるだけ歩く。で、歩くときに注意することは、一方通行の道路を逆方向に歩くことです。京都市内の道路は道幅が狭くて一方通行の道路も多い。クルマと同じ方向に歩いていると、ふいに後からクルマが来てクラクションを鳴らされてしまうということもあります。07.jpgそれじゃおちおち撮影もできない。
でも、逆方向、つまりクルマが走ってくる方向に向かって歩けばそうした心配はしなくてすみます。安全だし、道路のど真ん中を気楽に歩いて撮影もできますね。
ぼくはいつも一方通行を逆走するように道路を選んで歩いています。

 
■お気に入りの1ショット!

ヒ:GR DIGITALで撮った京都でのお気に入りの1ショットを見せていただけますか?
08.jpg (今回写したものではないのですが、祇園の巽橋あたりだそうです)

■取材を終えて
田中先生が、「個人の感覚だけど、東京は35mmがフィットするけど京都は28mmの方がフィットする」という面白いことを言っていました。どうやら、道路の幅が京都は狭いから被写体との距離感が28mmと感覚的に合うんじゃないか、とのこと。京都はパリ、東京はNYという印象がある、とも・・・都市に合う焦点距離、なんていう見方をしてみるのも面白いな、と思いました。


◆おまけ ―― その1~田中希美男さん薦めの京都の桜撮影スポットBest3

(一位)蹴上げ裏の疎水べり
(二位)光悦寺周辺
(三位)下賀茂神社

◆おまけ ―― その2~田中希美男さんお薦めの散策コース

(以下田中希美男さんからのコメント)
今回、初春の京都をGRブログのスタッフと散歩したコースは大別して三カ所でした。このダイジェスト版コースなら、タクシーをうまく利用すると一日あればゆっくりと“京都”が堪能できます 

(1) 三条堺町の「イノダコーヒー店」でコーヒーを飲んだあと、三条の寺町通りを北に向かって歩きました。二条寺町(角の果物屋さんは梶井基次郎の「檸檬」で有名)から二条高瀬川にある島津記念館前から高瀬川沿いを御池通まで。なお、二条寺町上ルにある「村上開新堂」のクッキーはぜひ、おすすめ。

(2) 白川沿いにある巽神社から祇園に向かって歩き、その奥にある建仁寺を拝観。建仁寺から安井神社を抜けて八坂さんの三重の塔へ。

(3) 吉田山の上にある「吉田山荘」で昼食をすませたあと真如堂内を散策。坂道を下りて東山方面に向かう。哲学の道を通り過ぎて法然院あたりを散策する。


田中希美男 kimio tanakaプロフィール:
www.thisistanaka.com

1947年、京都市生まれ。清水焼きの窯元で陶芸製作の後、1971年、多摩芸術学園・写真科入学。
09.jpg 卒業後、フリーランスフォトグラファー。
撮影分野は、人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッションなどジャンルを問わない。主に車雑誌等で車の写真撮影を続けるほか、カメラ雑誌などに新型カメラのレポートや撮影技法の解説を行う。
著作に「島田荘司の名車交友録(立風書房)」「名車探訪((立風書房)」「世界民芸曼荼羅(毎日新聞)」「デジタル一眼レフ プロ級写真の撮り方教えます(技術評論社) 」などがある。
日本カメラグランプリ選考委員。
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